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『水彩画・桜の風景の描き方』初心者にも分かりやすく徹底解説!

京都・醍醐寺

 

 

こんにちは!水彩画家の矢野元晴です。

今回は四季をテーマに一度は描いてみたい桜をモチーフにした描き方を紹介したいと思います。初心者もこれをマスターすればいろんな桜に応用できますのでぜひ参考にしてみてください。

それでは早速いってみましょう!

 

水彩画・桜の風景の描き方動画はこちら

5分動画ですが桜の風景を下書きから完成まで短めに説明しております。ご参考までに

 

水彩画イラスト・桜の風景の描き方:スケッチ(下描き)

 

今回は京都・醍醐寺の桜の風景を描きたいと思います。

桜は色で表現するので下描きせず、五重の塔はアウトラインを押さえながらざっくり描きます。

塔の段数を間違えないように(笑)

僕はたまに間違えて六重の塔になってしまった時も(笑)

塔の幅は上に行くにつれて小さくなっていきます。

 

〜豆知識〜

五重塔のデザインは中国から伝わり、それぞれの階層が五原素(地、水、火、風、空)を表してるそうです。耐震性にも優れており、中心に大きな木製の柱が主要な支持体となり、地震の揺れを吸収してくれます。釘を一本も使わないところもすごいですね。

 

水彩画・桜の風景の描き方:ファースト・ウオッシュ(平塗り)

 

 

ウオッシュとは画面広範囲を均一に塗る技法です。

平塗りともいいますね。

初めに大きめの筆で画面全体を水で塗り、絵の具が紙上で自由に動ける状態を作ります。

まずピンク色のオペラ(ホルベイン透明水彩絵の具)を薄く溶いて白いところを残しながら桜を塗ります。

ソメイヨシノは白に近いピンクなのでピンクが強すぎるとももの花みたいになってしまいます(笑)

その後、画面が濡れている間に空色のコンポーズブルーを塗ります。

この時の注意点はブルーを塗る面が多すぎると桜が小さくなってしまうことです。ピンクよりブルーの方が色が濃いのでブルーがピンクに入り込んでくるとどんどん桜が小さくなって貧弱になってしまうので気をつけましょう。

 

〜ウオッシュのバリエーション〜

フラットウオッシュ:画面全体を均一に塗る技法です。

グラデーションウォッシュ:濃淡を変化させながら塗る技法で一端から反対端に向かって徐々に薄くしたりするなどグラデーションを意識して塗ります。

バリエーションウォッシュ:複数の色彩で画面の上で変化させながら塗る技法です。

 

最初は水や絵の具の分量が上手くいかず薄くなり過ぎたり、濃くなり過ぎたりしますが練習していくうちに慣れてくるので枚数を重ねながら練習していきましょう☺️

 

水彩画・桜の風景の描き方:セカンド・ウオッシュ

 

 

今度は桜を塗り残しながら緑を入れていきます。

明るい桜を目立たせるためにはバックを暗くすることで浮き上がってきます(ネガティブペインティング)。

一度緑のところを濡らしてからグリーンを入れると輪郭がソフトエッジになり、馴染んできます。

 

緑はパーマネントイエローとコンポーズブルーを混色して塗り、濡れてる間にウルトラマリンライトで緑の濃いところを塗りました。

 

水彩技法「ネガティブペインティング」とは?

ネガティブペインティングとは目立たせたい対象物の周囲を塗ることで形を浮かび上がらせます。

 

ポイント:塗り残したい対象物の形をよく理解していないと綺麗に塗り残せないのでよく観察することが大切です。バックのコントラストを強めることでさらに形が浮き上がり、主役が引き立ちます。最初は中々難しいですがオシャレな表現ができるので練習していきましょう♪

水彩画・桜の風景の描き方:バルール(影入れ)

 

 

このステップが一番重要です!!

水彩は影を入れて光を表現する絵なのでこの影を入れる段階(バルール)が大切です。急に立体感が出てガラッと変わります。

五重の塔の暗い所を入れながら桜をネガティブペインティングで浮き上がらせます。

主役の桜がしっかりと前に出てきますね。

五重の塔の色はニュートラルチント+オペラです。

暗さの中に桜と同系色のピンク系オペラを入れることで色の繋がりを持たせます。

画面全体が馴染んで統一感が出ますね。

 

次に桜の影を入れて立体感を出します。

まず桜全体を綺麗な水を含んだ筆でで濡らし、濡れてる間に影色を入れていきます。

桜の影色はオペラ+ウルトラマリンライト。スパッタリングをしながら動きを出します。

 

バルールとは?

『バルール』(Valeur)は色価といい明暗、濃淡を使って奥行きや質感を表現する方法です。

全体のトーンを合わせていく作業です。これが上手くいくと自然と立体感が出てきて画面に説得力が生まれます。

 

スパッタリングとは?

スパッタリング(Spattering)とは、画面にランダムに絵の具を飛び散らせることです。

飛ばす力の加減などで飛沫の粒の大きさや飛散範囲を調整できますがこれが中々難しい(笑)

やり方としてはブラシに絵の具を含ませた後、指で筆の柄を叩いて飛ばします。

 

スパッタリングのコツ↓

水と絵の具を適量含ませ、ブラシの頭を人差し指で叩きながら勢いよく飛ばします!!

たまに角度も変えながら

水彩画・桜の風景の描き方:完成(ディテール細部)

 

京都・醍醐寺

 

枝や細部調整をして全体を整えていきます。桜の枝を描くコツとして描き過ぎないのがポイントです。花と花の間に枝を入れていく感覚で、繋げすぎると枝が目立ち過ぎてしまいます。

また、枝にも濃淡がありますので同じ濃さにならないように調整が必要です。

枝の色はニュートラルチント+バーントシェンナ。

 

最後に一旦席を離れて遠くから絵を眺めると良いでしょう。全体の形やコントラストが把握できるので微調整しやすいです。

 

水彩画・桜の風景の描き方:ソメイヨシノの特徴

・花の特徴

5枚の花弁があり、色は淡いピンクです。密集して咲くため、枝全体が花で覆われてボリューム感がありますね。お花見には最高です!

・葉の特徴

花が散った後に卵形の葉が展開します。濃い緑色で秋には黄色や赤系に色づき、季節感を出してくれます。

・樹形と成長:

ソメイヨシノは落葉樹で、成長すると高さは15mからm程になります。樹形は広がりがあり、円形に近い形です。

・開花時期

3月中旬から4月上旬に開花し、春の訪れを告げてくれます。パッと咲いてパッと散る。まさに日本の心・武士道精神を感じる花ですね。海外でも人気の高いです。

・生態系への影響:

ソメイヨシノは多くの野鳥や昆虫にとって重要な棲家になっております。

また、お花見やアーティストの画題になるなど社会の人々にとっても重要な文化役割を担ってますね。桜を描く画家は多いですよね☺️

桜を題材とした文学作品

・万葉集:

万葉集は日本最古の和歌集であり、桜を詠んだ歌が多数含まれています。桜の美しさや春の訪れを祝う歌がたくさん詠まれてます。

・源氏物語:

「若菜下」の巻で主人公・光源氏が桜の花を愛でるシーンがあり、桜が織りなす春の風情が詳細に描写されており、太古から日本人が桜を愛している情景が浮かびますね。

・夏目漱石の『こころ』:

主人公と友人が桜を眺めながら心の内を語り合うシーンがあり、心情の変化を表しております。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

お花見の時期は桜が描きたくなりますね。桜も手順がわかればスムーズに描くことができます。昔から詩や文学作品にもなる桜は日本の美意識を象徴していて素敵ですね。

特に水彩は即興的に描けるメリットがありますので桜のみずみずしい表現や空気感を楽しみながらチャレンジしてみてくださいね。

それでは、またお会いしましょう。